凛灯舎

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Poetry

行く夜

そうだオリオン 君の名を
ようやく思い出したのだ

次の次の火曜に北へ
恋人へと発つ友人の
凍て付いた車のドアを
溶かす為の湯を持って
間の抜けた散歩をする

薄く雲差す冬の下
ドアを開いて彼女は帰る
部屋着姿でポットを抱え
離れて行くテールランプに
少しぼうとして立ち竦む

しあわせでありますよう
すこやかでありますよう
しんと張った寒さの層や
にじり歩く足音が
空白の夜を埋めてゆく

そうだオリオン、君の姿を
いつも私は見付けていた
遠くとも在る光
名前や記録など
要らぬほどの近しさで

明日の休みはきっと
一人で空を見ようと思う

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