手を挙げてまっさらにはなれない
諸手を高く伸ばし爪立つ
背の筋の一つが張る
あの山を丸める土くれと水
道行く当て所ない音まで
包み込む概念
遠くとも一部であるもの
私の知らぬところで
現象に化けて散ったもの
君はまだ信じているのか
空が何か純粋なものの為にあると
木々が風に鳴き
虫が花を連れる間
私は世界の屍に昼寝し
利権の意思を食らった
目を 耳を 口を塞ぎ
腕を 首を 力なく垂れた
無力の人と見えるよう
諸手を高く伸ばし爪立つ
夏の雲が消えようとしている
北でなくとも冬は来るのだ
長く色のない季節に
険しくはない、ただ淡々と
ゆっくりと絶える年だろう
信ずるに足るもの全てが
がらくたに化けて死ぬだろう
手を挙げてもまっさらにはなれない
しかし指先は空に透け
太陽に温かく脈打つ
躯は地にしがみついている
それだけを証しとするならば
たったいま知ったのだ
息の続く
そのあいだで