凛灯舎

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Poetry

春光

手放し
あたたかに包まることには
涙するより他にない

春光よ、わたくしは
己がまなこに見遣るより
沢山のものに絶望し
気付かぬままに虚を抱え
己が耳へ届くより
沢山のものを呼んでいた

いくたび呼ばえば名を憶え
いくたび見やれば知るだろう
あなたの声や所作や目や
そういったひとつひとつが
丁寧に底を埋め
わたくしを象って行く

春光よ、わたくしは
おぼろの雲をあなたと見よう
ゆらぎの風もあなたと越そう
やわらかな今日の光の下に
色の名を知らず咲くように
幸福の姿を定めず
わたくしはあなたに生まれよう

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