凛灯舎

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Poetry

午後の波間

十年前の流行りの歌を
そっと理解した昼下がり
馬鹿馬鹿しいほど青い空は
色濃くなるのを厭わずに

あのこは今日髪を切った
私は昨夜それを見ていた
砕き切った心へ詰めて
方向を決めた、旅人のように

惹き合う上下を結び
波が広くゆらめいている
私の中で生きている渦
感情と感情の二値

いつも通りの青
いつも通りの波
嘘を重石に振り幅を下げて
忘れようとする、旅人のように

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