今日
紫煙を捨てよう
君の懐かしい薫りを
過ぎた日の影を
足取りを遮る
ゆるやかな隔たりを
惰弱な驕りを
封じ込めて流そう
君の示した歌が今
私の血へ根付き
皮膜を破り
芽を出そうという
(君は花の色を知るや
一の歌の咲かす
万の花を知るや
一の人に咲く
一の色を知るや)
かんばせは貧しく
咲く日すら来なくとも
芯を満たし
伸び行かんと張り上げる
指先を発つのは
二月の冷たい夜を
墨灰に染め流す
音持たぬ無奏の譜
気流は風上を目指し
雪を撒き木々を揺らし
君の涙を拭うだろう
かつての掌の代わりに
明日
洗われた朝を越え
万色の旋律を残すだろう
君への別れの歌の代わりに