凛灯舎

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Poetry

残幻

つまみ上げられ
捩じ切られた歴史の跡形が
ここへ残されたものだ

親指と中指だけを使い
忘れられた指切りのように
思いがけぬ必然で
あっけなく分かたれる

隠喩の化粧をした人々が
道を歩いたり
手を振ったりしているが
それら------------らは
残余の暇なく
ただ費やすに過ぎない
(幻は幻を創り得るが幻より他に生むことはできない!)

捩じ切られ
平らげられた容の跡形が
ここへ残されたものだ

いつか
幻はそれを拾うだろうか

抱き惜しみ
愛おしむだろうか

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