凛灯舎

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Poetry

みなおもて

みずに足を浸すのはこわくない
ひとまとめに わたしは
媒介をつたって
すぐに川底の石英となる

ほろほろと 上手に
わたしはほどけてゆく
ほつれた糸 さなくば
良く焼けたほぐし身のような
ふがいない仕草で

かかとまでみずに浸かると
そこからわたしは始まる
しだらなく伸びて
みずの隙間へ丁寧にいる
打ち上がるのを待つ流れ木に
湧水のうたを聴くすなつぶに
とおい日の
かえりを待つすべてに

ゆらゆらと 靄は
やがてひとのかたちを造る
頭のさきから 手のさきから
しぶきを上げわたしは戻る
魚たちはもうわたしをみない

――みず に
足を浸すのはこわくない
ほどけたわたしの端切れが
まだみなそこに住んでいる
あさい水面にたゆとうて
いつまでもそこにいる

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