凛灯舎

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Poetry

入静

わたくしのペンの横に
一匹の羽虫がいる
溶けた蝋に飛び込み
もがく間もなく沈んだ
幾日か前のことだ

燃え尽きたアルミ容器で
羽虫は足を曲げている
蝋の滓にへばりつき
黒い目の他は薄白く被われ
柔らかなフォルムのまま
立体を保っている

それは朽ちることもなく
まるで永久の素振りでおり
困惑のような艶を
わたくしの目に反射する

闇の濃い夜だった
ひとしきり弧を描き
明滅する炎に吸われ
一匹の羽虫が死んだ
幾日か前のことだ

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