ずっと嗄らしているのだから
あたりきの言葉ではこまる
恐ろしいほどの生きた唄
あたりきの詩脈ではこまる
美しくもないこの咽喉は
幾年瀬か叫ぶことをせず
押し殺した数多の意思に
音もなく声を嗄らされた
慣れるのは心地良いだろう
情報による残像の既視
見知らぬ友人に凭れるように
安穏と慈愛の菓子をして
ずっとさがしているのだから
無二の唄でなくてはこまる
全体躯に知らしむような
時宜を備えてなくてはこまる
青み 足掻き 焦り 抗い
それから悪さに至るまで
嗄れた咽喉に乗せよう
まちがわず息のできるよう
ただ一度
それを産声と呼ぶために