祈年の太鼓のつかい手が 川底をさらい舞っている どおんどうんと飛沫上げ 絶えぬ雪解けを引き連れて
なにもかも溶かして行く もう凍り付くこともない 塞き止められることもない 山の神の意のままに 巻き込まれた命さえ なにもかも押し流すのだ 大地の熱は留まれぬ
ごおうごおおと合唱し 春の大群は流れを下る 大きな川石をそそのかし 魚を蛙を揺さ振り起こし
この手が木の芽を摘み採るまで この足が青草を踏み締めるよう