ひと月に片方ずつ
失くしている
様々の水玉
無難な黒
編み込みの縞
灰地の格子
膝下の紺
くるぶしまでの赤
ビリジャンの毛糸
雪色のガーター
ひと月に片方ずつ
亡くしてゆく
いつかの予定
それからの思い
半分だけ見失い
引き出しを
一面
ちぐはぐに埋め
揃わない靴下を
私はどうにも捨てられず
補えないひとつを
私はどうにも見限れず
溢れかけると
畳んでは詰め
時折
つくろいもしながら
片方ずつ失くしても
あの日の予定
あれからの思い
また組み合わさることもあるだろう
とりどりの切れ端
私はじっと抱えてゆく