凛灯舎

Contents

Poetry

夜の風貌

夜は満ち足りた顔をするから
視線の先に
こころ ぐらい
置き去りでも構わなかったのだけれど
十七の振りをした
十四の私が
少女小説の主役のように
夢見がちな悲鳴を上げるので
大の大人の振りをした
二十四の私は困ってしまう

惜しむものを失くして
揺らぐことを放して
何になろ、何になろ と
呼吸だけを繰り返し
(冷めぬ為に冷めるのだ
と言っても
君は信じちゃくれまいね)

皆あの夜更かしの電灯のせいにする
それから少しのお酒と
上滑りの話術で以って
自分の嘘にも嘘を吐く
大の大人の振りをした
二十四の私は
おろおろと旋回を始めて
十七の振りをした
十四の私を揺さぶり起こす

夢と現の境
希望と絶望の境
それらを探そうかという
迷い

まだ夜は生きている
満ち足りた顔の影に隠れて
(偽らぬ為に偽るのだ
と言っても
君は信じちゃくれまいね)

Signpost

Copyright ©RINTOSHA. All rights reserved.